2010年6月11日

Qちゃんの神様

Qちゃんの家には神様がいっぱいいるようです。

Qちゃんは寝床の中で物音に気づき、様子を伺うと、お母さんがあちらこちらに歩き回ったあとのようでした。
次の日の朝も Qちゃんは、その物音を聞きました。
お母さんが何をしているのか知りたくてたまらなくなったQちゃんは 「明日は早く起きよう」と思いました。

お母さんは 朝暗い内に起き出します。
先ず玄関の間から門の方へ向って手を合わせ、お日様を拝みます。
次に玄関の間と食事の部屋の神棚を拝み、お仏壇に手を合わせます。
蔵へ続く濡れ縁から西に向かって何かを拝み、
また、反対を向いて庭の隅に鎮座する金毘羅様に手を合わせ、
更に二階へ上がり、雨戸を開け、瀬戸内海を望み 何を拝んでいるのかよく分かりませんが大椎、小椎の島に向かって手を合わせます。
それから東に向かって、高野山を、屋島の方に向き直って屋島寺と地蔵寺を拝みます。
そして階段を降りて、厨に入って行き、起きてきた姉さんたちと朝餉の準備をし始めます。

Qちゃんはわくわくしました。
おかあさんのあとをそっとついていっていたのですが、もう一度その順番にまわり、 お母さんのまねをして手を合わせてみることにしました。

二階では、朝日のきらきら照らす瀬戸内の海が見えました。
いままで見た海とちがってまぶしいばかりの景色に Qちゃんは「わぁ~」と小さく声をあげました。

「Qちゃんか。はやいなぁ。」の声に振り向くとお母さんも二階にきていました。
「なにしとったんか?朝ごはんはまだできとらんよ」

Qちゃんは えへへと照れ笑いをして、階段を駆け下りて床にもう一度もぐりこみました。
おかあさんが一人で家の中を拝んで回っていたのですから、自分も内緒にしておこうと思いました。
布団の中で、Qちゃんが指を折って数えてみると、十か所 拝んだところがありました。

Qちゃんには神様がいっぱいいるようです。 


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Qちゃんはこの地方(讃岐)で育ちながら、さほどお寺さんとお付き合いがなかったように思います。
家族の命日にお坊様を呼んで読経してもらったり、○○回忌にお寺さんに行って卒塔婆をたてたり、ということが。
それはお母さんの姿から、すべてのことに感謝して、ひとつの宗教に固執しない なにかを体得していたのかもしれません。
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このエピソードを教えてくれた従兄弟に感謝!!!



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